7月20~21日・日本労働弁護団関東ブロック総会に参加して

[News] 2018/07/25

72021日の2日間、群馬県草津温泉で行われた日本労働弁護団の関東ブロックの総会に参加してきました。当日は、関東近県から60人近くの会員が集まりました。

 

1日目は早稲田大学の浅倉むつ子教授による講演と最近話題の『職場を変える秘密のレシピ47』の日本語版出版の中心メンバーである東京法律事務所菅先生の講演です。

浅倉教授は、「『女性中心アプローチ』への誘いー私たちがめざす働き方」とのタイトルでお話しされましたが、自身が婦人労働問題に取り組み始めた頃のお話から、近年の研究テーマである包括的差別禁止法制、生活時間アプローチのお話などをされました。

 

女性中心アプローチで考えていくというのは、女性だけを特別扱いするという趣旨ではなく、ジェンダーの視点からあらためて分析し検討することで、障害のある人や正規非正規の問題など、様々な労働法の問題を見直していくとのことでした。

とくに印象に残っているのは、『ケアレス・マン』モデルという言葉です。ケアレス・マンとは、家事・育児責任を負わない「家庭責任不在の男性的働き方」を指す言葉、場合によっては『産む性としての身体的負荷がない』(自らの身体ケアが不要)も含む、というもの。日本的な雇用では、まだまだケアレスマンモデルとなっているので、ケアの担い手労働者がもっと尊重される働き方に変わっていかねばならないとのことでした。

 

菅弁護士からは、職場のレシピ47に関する話がありました。元々は、職場でいかに仲間に引き入れていくかという書籍ではあるのですが、相手の関心事について丁寧に問いかけること、相手の話を丁寧に聞くこと、など、普段我々が依頼者と接するときにも参考になるような話も多く出てきて興味深かったです。

 

また、相手に問いかけるにはSNSなどのネットのコミュニケーションだけでは十分ではなく、直接の対話(会話)も重要!との指摘もあり、情報の周知、拡散にはネットのツールが有用なのは間違いないのですが、根本的なところは人と人とのぶつかり合いなのかな、などとも思いました(私見)。

今後は、この47レシピを元に各地でワークショップなども開いていきたいとの発言もありましたので、こちらも注目していきたいと思います。

 

また、2日目は本部報告と各地報告が行われました。中でも、栃木から、解雇事件で解雇無効とともに取締役の賠償責任(会社法429条)も主張したところ、東京高裁で取締役責任も認められたとの画期的な報告がありました(興国運輸事件)。今後詳しい報告に注目したいと思います。

 

普段なかなか接する機会の少ない他県の会員弁護士らと交流する中で、私もリフレッシュすることができました。労働弁護団の関ブロ会員のみなさんは、次回以降の春の学習会や総会にぜひ参加しましょう!()

弁護士 早田賢史(そうだけんじ)