働き方の意識が変わっていく予感が

[コラム] 2017/02/18

箱根ガラス美術館が、年中無休を止め、2018年1月に連続11日間の休館日を設定したり、開館時間を午前9時から10時に変更する方針を決めたとの報道に接しました(読売新聞2月18日)。

こういう報道に接するとうれしい気持ちになりますね。法律でどんなに長時間労働を規制しても、使用者や労働者にそれを守る意識が生まれなければ、実効性は低いままです。今でも立派な労働基準法があるにもかかわらず、それが守られないから、過労死や過労うつの問題が発生し続けています。

その原因のひとつに、消費者に対するサービス意識があると思います。私の嫌いな言葉の一つに、「お客様は神様です。」というのがあります。サービス提供者とサービスを受ける側は対等の関係で、取引であり、「神様」と考えるのは間違いだと思っています。

こう考えれば、休館日を設定したり、開館時間を短くしたりすることによって、そこで働く者のワークライフバランスを実現する、というのはサービスの低下ではなく、適切なサービスの提供であると位置づけられることになると思います。

館長は、「長期休暇に海外などで教養を深めることもできる。スタッフに気持ちをリフレッシュしてもらうことで、おもてなし精神の向上につなげたい」とおっしゃったそうです。こういう発想で、より質の高いサービスを提供してもらえるとうれしいです。

弁護士 水野英樹