そごう・西武労組のストライキを支持する支部長談話
[News] 2023/09/01
そごう・西武労働組合は、8月28日、会社側にストライキを実施すると通告し、昨日8月31日に、西武池袋本店においてストライキを実施した。
報道によれば、そごう・西部の親会社であるセブン&アイ・ホールディングスは、米国投資ファンドであるフォートレス・インベストメント・グループにそごう・西部を売却する計画を発表しており、フォートレスは家電量販大手のヨドバシHDと連携し、ヨドバシ出店を検討している状況にあるという。
そして、組合側は、売却後の事業計画や雇用維持に関する情報開示を求め、7月には、実に93.9パーセントの組合員の賛成を得てスト権を確立し、その後も、団体交渉を継続してきたが、会社側が労組のスト権確立後も早期の売却姿勢を崩さず、組合員の雇用維持や事業の継続が不透明なまま、売却に踏み切ろうとしたために、やむなく、組合側は、昨日のストライキの実施を決断したという。
ストライキを含む団体行動権は、日本国憲法28条で保障された労働者の権利である。法的な面から、全面的に支持されなければならないことは言うまでもない。
ところで、市民生活に対する影響を懸念して、ストライキに対する非難の声がメディア等で取り上げられている場面が散見されるが、より本質的な報道が望まれるところである。
ひとり一人の市民は、消費者であるとともに働く仲間でもある。労働者と労働組合がストライキという手段を取らなければならなかった実情や背景に思いを致し、同じ市民社会の仲間として、ストライキに立ち上がった労働者と労働組合と連帯することを期待するものである。
日本労働弁護団東京支部も、日本労働弁護団本部と同様に、労働者、労働組合の権利を擁護する団体として、そごう・西武労働組合が実施するストライキを支持するとともに、憲法が保障する基本的人権を労働者が行使して「声を上げる」ことに理解と共感を持つ市民社会を築くことをあらためて望むものである。
2023年9月1日
日本労働弁護団東京支部支部長 弁護士 水口 洋介