認可外保育所による解雇事件、完全勝訴の判決!

[News] 2016/08/15

私が担当している解雇事件の判決が今年7月1日に言い渡されました。

この事件は、認可外保育所である保育所ちびっこランド八幡山園(現・保育所Agape八幡山園)で保育士・保育士補助として勤務していた原告ら2名が、都の定める基準に違反した「詰め込み保育」、「園児の健康や生活リズムを無視する保育」などを行なう園長に対して改善を求めたところ、園長は原告らを嫌悪し、解雇をしたというものです。

被告は解雇の理由として、原告らが園児に暴言を吐いたとか虐待したなど全く事実に反することを主張してきましたが、園児と保護者のために正しい指摘をした原告らに対する報復であることは明らかでした。

そして、今年7月1日、東京地裁は本件解雇を無効とし、解雇後約3年間分の賃金支払いを命ずる判決を言い渡しました。いわば「完全勝訴」の判決です。

さらに特筆すべきはその判決内容で、裁判所は、私たちの主張のとおり、「原告らに対する解雇の目的は、園長による園の運営方法に問題がある旨の意見を述べた原告に対する嫌悪にあったというべきであり、その目的が不当であるから、原告らに対する解雇は、社会通念上相当であるとは認められず、その余の点について判断するまでもなく無効であるというべきである。」と判示しました。

通常の解雇事件だと、裁判所は、被告が解雇理由だと主張する事実が存在するか、存在するとしても解雇が有効とまで評価できるかを判断します。ですが本件では、「目的が不当だから被告が主張する解雇理由を判断するまでもなく解雇は無効」と判示したのです。これは大変珍しく画期的だと思います。

また、この事件は、社会問題となっている「詰め込み保育」を許さないことを世に訴える意味でも重要です。被告が控訴しましたので、たたかいの場は東京高裁に移りますが、原告らや協力してくれている労働組合とともに頑張っていきます。

 

弁護士 三浦佑哉