残業代請求訴訟をしたら雇止め!? 国際自動車雇止め事件
[News] 2017/10/10
はじめまして。労働弁護団東京支部の弁護士、中村優介と申します。
今回は、私が現在担当している事件のご紹介を致します。
現在、国内最大手のタクシー会社である国際自動車の乗務員さんたちが、集団で、会社に対して残業代を請求する裁判をしています(なお、この事件に関する弁護団の声明は、主任の指宿弁護士の記事(http://www.ak-law.org/news/2092/)をご覧ください)。
この会社では、65歳定年を迎えた人も、1年間の有期雇用という形態で再雇用を行っているのですが、会社は、残業代を請求した乗務員さん達のうちで、①定年退職を迎えた人について再雇用をしない、②定年後有期雇用契約で働いていた人を雇止めする、ということをしてきました。
私たちは、裁判所に対し、合計5件(合計12名)の雇止めが違法であることを理由に賃金の仮払いなどを求めて「仮処分」を申し立てたところ、うち7名について、裁判所が「雇止めは違法である」との判断をし、雇用が継続されていることを前提として、賃金の仮払いが認められました(なお、うち4名は取下げ、うち1名は敗訴)。会社は、残業代請求をしたことが不更新事由(雇止めの理由)の一つであると主張していたのですが、裁判所は、そのような理由は憲法で保障された「裁判を受ける権利」の趣旨を没却するものだ、と判断しました。
12名の方達は、現在、職場復帰を目指して、本裁判で闘っています。また、この方たちは、労働組合に加入しているのですが、労働組合が主人公となって、会社を相手に、東京都労働委員会に対して、組合差別などを理由として「不当労働行為救済申立て」をしています。本裁判も労働委員会も佳境に入っており、間もなく証人尋問が行われます。
残業代裁判も含めた全面的解決を目指して、引き続き奮闘します。
この事件のように、会社は、いろんな理由を付けて、退職を迫ったり、賃金を払わなかったりする事があると思います。そのようなことがあった場合、すぐに裁判!というわけではないですが、ぜひ一度、ホットラインhttps://www.rouben-tokyo.org/hotline/を利用して、ご相談ください。
弁護士 中村 優介